ノベルレビューオンリー

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イコノクラスト! 全10巻

 

 榊一郎さんによる、ダークファンタジー+ロボットモノ。

 異世界召喚された主人公(と従姉妹)が破滅の危機を迎える世界を救うべく召喚され、戦いの渦に巻き込まれていく様を描いております。

 

 スクラップドプリンセスシリーズを愛読していた流れでこのシリーズも読むことにしたもので、そのあまりの雰囲気の違い、ダークさに若干戸惑いを感じましたし、正直なかなかカタルシスの感じない展開続きで面白さを掴めなかったのですが、榊さんの筆力で読ませてはくれましたし、まあオチも悪くはなかったので10巻追い続けてガッカリ、ってことにならなくて安堵しました。ただヒロイン格の少女が複数いるのですがどのキャラにも魅力を感じなかったのは残念でした、あの世界観なのでなかなか楽しいやり取りってのが難しいのも理解は出来るのですけどね。

 

 ダークファンタジーはあまり読まないジャンルだったのでそこは新鮮でしたし、まあ読み人は選ぶ作品であることは確かですが、エグさ、グロさを乗り越えられればなかなか読めるシリーズではないかと思います。

異世界居酒屋のぶ 1-4巻

 

異世界居酒屋「のぶ」 1-4巻セット

異世界居酒屋「のぶ」 1-4巻セット

 

「小説家」サイトにて人気を博している、居酒屋が異世界に繋がってしまいそこで営業する主人公達と中世ヨーロッパ人のような来店客とのやり取り・交流を描いた作品を商業単行本化したシリーズです。

 2016年7月現在で4巻まで発刊されています。

 

異世界食堂」が実に面白かったのでなろうサイトのこのテのジャンルの他の作品も読んでみたいと思っていたところにこのシリーズを紹介され、読んでみるとこれまた面白い! なろうの異世界料理モノにハズレはないのではないかと思わされるぐらい楽しませてくれました。

 料理描写がやはりキモなわけですがこれがイイです……和食中心ですが段々と洋食や中華も出てきて、それがこの異世界の住人たちが実に美味そうに食べて、読んでるこちらまで食欲がそそられる、まさに「飯テロ」な仕上がりになっており。天ぷらやうなぎ、唐揚げ等々、もう、食べたくなってしまいますね。

 ただ惜しむらくは、筆者がアルコールがダメな人間なので酒との相性とかを描写されても雰囲気でしか楽しめないところです……残念。

 そして登場キャラたちが織り成す人情話も多々描かれていくわけですが、これがまたいい味出してます。特に4巻最後の「遠い海から来た男」のエピソードが実に沁み入るものが……「これだよ、これなんだよな……」のセリフが本当に胸にきましたね。本当に良かった。

 イラストのくるりさんの絵柄もパッと目を引く可愛らしさで印象に残りますね。特にヒロインの笑顔がステキです。

 

 コミカライズも2作展開されてそちらも人気を博しているようですし、なろう出身タイトルとして商業化に成功しつつあるようです。

 今後も作者の蝉川夏哉さんの紡ぐ物語、そして料理描写が読めると嬉しいですね、オススメのシリーズです。

ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン 5巻

 

ソードアート・オンライン」シリーズの舞台の一つとなったガンゲイルオンライン、そこでのバトルを描いたスピンオフシリーズ、第5巻。

 4巻でのバトル大会中盤での大きなルール変更によりパーティからそれぞれ離脱したチームと残りのチームとによる戦いの決着までを描いています。

 

1-4巻までの拙レビュー↓

dragonmuga0093.hatenablog.com

 今巻はほぼ戦闘のみで展開、シリーズ1のぶっ壊れキャラも存分に暴れておりました。最初の2章丸々主人公チームが出てこないのはおやっと思いましたが、出てきてからは楽しめましたね。

 まあ主人公の元々の参加理由が特別ルールでゴニョゴニョしちゃったのはちょっと残念でしたが、ガンバトル描写は詳しくない身ですがそれでも雰囲気感じさせてくれるレベルでしたし、相変わらず地の文でですます調なのには違和感あるものの、まずまず楽しませてくれました。

 

 あとはまあ、川原さんが許可してくれるならシノンは無理でも本編でのファントムバレット編での出場者の大会への特別参加とか、読んでみたいかな。

その白さえ嘘だとしても

 

その白さえ嘘だとしても (新潮文庫nex)

その白さえ嘘だとしても (新潮文庫nex)

 

 前作「いなくなれ、群青」に続く、階段島シリーズの第2作。

 今巻では主人公とヒロインのみならず、周りのキャラ達にもスポットが当たりそれぞれの理由でそれぞれが捜し物を見つけるべく走り回る様を描いています。

 

 ううむ、今回は上記の構成が、最終的には収束することは判っていたものの、途中が色々と行ったり来たりで今ひとつ落ち着かない感じがしてもう一つに感じてましたけども。

 まあやはりクリスマスの奇跡、っぽくまとめられると何かしっとりとした心境でこれでいいなあ、と思えてしまいましたね。

 今回よくスポットの当たった学級委員長の、主人公とヒロインへの複雑な感情が入り混じっている様はよく描かれていて、前作ではヒロインの一途過ぎるおかしさが散々指摘されてたけど主人公も大概だよなあ、と伝わってもきました。

 

 あとはまあ、今回もイラストがとっても素敵でした、これまた表紙だけで書店で手に取ってしまうインパクトはあると感じましたね。

 魔女の正体にも迫ることになり、今後どうなるのか続きが気になるところでありました。

織田信奈の野望 4巻

 

織田信奈の野望 4 (GA文庫)

織田信奈の野望 4 (GA文庫)

 

 アニメ化もされた人気ライトノベルシリーズ、第4作。

 前の巻のラストで絶体絶命の危機に陥った主人公が如何にして戦い、この窮地を脱するのか、とても気になっていたわけですが。

 周りの姫武将たちの動揺っぷりもしっかり描かれ、特に妹的存在の娘の健気な様子がなかなかに印象的でした。

 まあここで主人公が死んでしまっては物語は終わってしまうわけで、主人公補正で助かることは明らかでしたがなるほど、救出シーンで重要キャラとのフラグを立てる展開となりましたか。

 前巻ラストの盛り上がりっぷりからするとやや拍子抜けではありましたが、元々武将としては強いわけでもなんでもないので、こういうオチもやむなしですかね。

 

 いよいよ戦国最強軍団を率いる姫武将も顔を見せ(最強武将はまだですが)、さてどのようになっていくのか、続きも楽しみではあります。

 

神曲奏界ポリフォニカ ストラグル・クリムゾン

 

神曲奏界ポリフォニカ ストラグル・クリムゾン (GA文庫)
 

 榊一郎さんが担当するポリフォニカシリーズ、通称「赤ポリ」の第4巻。
 前巻「スパーティングクリムゾン」のラストを受け、苦境に陥った主人公コンビの復活ぶりを描いております。

 もちろんあのまま黙って終わってしまうヒロインではなく、見事な活躍を見せてくれることを期待していたわけですが。
 いやはや、さすがは榊さん、見せてくれました。
 まあ今後にも出張ってきそうな敵も出てきてますます盛り上がっていきそうです。
 あとはまあ……「黒ポリ」も読んでいて良かったなあ、ってところですか。

 今後の展開に期待させてくれる内容であったことは確かですね。

 

機動戦士ガンダムUC 1 ユニコーンの日(上)

 

機動戦士ガンダムUC 1 ユニコーンの日(上) (角川コミックス・エース 189-1)

機動戦士ガンダムUC 1 ユニコーンの日(上) (角川コミックス・エース 189-1)

 

逆襲のシャア」から3年後を著名作家である福井晴敏さんが描く新たなガンダムシリーズの第1巻。
 既に完結しアニメ化もされていますね。

 プロローグがえらい長くて、こりゃ完全新作でこんなことしたら袋だたきだろうなあと。固定ファンがガッツリそんあ宇宙世紀ガンダムが題材だから出来るのでしょう。

 で上巻ってことである程度予想していましたが、肝心のユニコーンガンダムが起動するシーンすらなかったのには拍子抜けでした。
 まあ確かに、一介の学生である主人公があっさり乗り込むのはおかしいじゃんと言われればそのとおりですが、200P以上書いてヒロインの逃走の助け→目的地到着で離別、までしかやらないなんてねえ。

 まあこりゃすぐ下巻を読まなきゃなあ、とは思わされました、そういう意味では買わせる力はあったんですかね、文章力はさすがにベストセラー作家だけのことはありました。

 

スクラップド・プリンセス 全13巻+短編集 全5巻

 

 榊一郎さんの代表作であるファンタジーノベル。

 タイトルの通り主人公の少女が実は王女であり、理由あって追われる立場となり義理の兄・姉と共に逃亡の旅を続けつつ反撃していく展開となっております。

 

 いや、シリーズ前半の兄と妹の愉快過ぎるやり取りは本当に楽しかったです。なんやかんや難癖つける妹に対し面倒くさそうに、でも律儀に対応する兄の構図がもう、とっても素敵。前半は本当に次巻の発売が楽しみで仕方なかったですね。

 途中から出てくる竜機神の少女もなかなか良いキャラでした。秘密を抱えながらもポイントポイントでしっかりと存在感を示し、秘められた過去が判明したときもその超展開っぷりに驚きはしたもののそのような存在故の悲しみは伝わってきました。

 

 シリーズ中盤以降の重くなっていく雰囲気は、初期設定からして仕方ないとはいえ前半とのギャップが大きく、前半のノリが好きだった身としてはもう一つ物語に入り込めない感じでした。オチに不満があるわけではないですが、ここまでガラッと変わらないように収まらなかったのかなあ、とちょっと残念に思ったのが正直なところです。

 

 ただまあ、最後まで読んで、多くの巻で楽しませてくれたことは確かですし、榊さんの作品をこれ以降も読んでいこうと思わせてくれたシリーズだったことは間違いありません。

「なかなかの良作」というのが最終的な評価になりますかね。

 

織田信奈の野望 3巻

 

織田信奈の野望 3 (GA文庫)

織田信奈の野望 3 (GA文庫)

 

 アニメ化もされた人気ライトノベルシリーズ第3作。
 今回は何と言ってもラストですね……絶体絶命の大ピンチ。主人公としてふさわしい行動を示したものの、さてどうなるか、次巻が気になって仕方ない引きでありました。
 新キャラも数人出てきて、特にフロイスはなかなかなインパクトを持ってましたが、ラストに全部持っていかれたなあ、というのが正直な印象ですね。

 

いなくなれ、群青

 

いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)

いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)

 

「君と僕」の物語、系の作品と言えるでしょうか。

 何とも不思議な関係、特にヒロインの少女のまっすぐ過ぎる性質が実に特徴的で、主人公の少年のやや斜に構えた部分はありがちかな、とも感じましたがそれでも二人の独特な距離感が印象的です。

 

「階段島」という、なぜか現実から切り離された、そこから出られないのに通信販売やゆうちょは利用出来るという場所で起こる不可思議な事象、魔女の存在、そしてあるはずのない再会を果たしてしまった二人。

 この物語に魅了された、というほどではないのですが、主役二人の行動や言動が目を離せない感じがして、一気に最後まで読ませてくれました。ヒロインのキャラの立て方の勝利でしょうか、本当にもう危なっかしくて、主人公の心境がよく伝わってくる感じ、なかなかでした。

 表紙イラストの透明感も素晴らしかったですね、書店で思わず手にとってしまうインパクトがありますし、あのヒロインのキャラクターを象徴してもいますね。

 このテの青春モノはあまり読まないのですが、久々に読んだのがこの作品で良かったなあ、と思えた一作でした。

ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン 1-4巻

 

ソードアート・オンライン」シリーズの舞台の一つとなったガンゲイルオンライン、そこでのバトルを描いたスピンオフシリーズ。

キノの旅」などで人気を博している時雨沢恵一さんが、自らのガンマニアっぷりをいかんなく発揮すべく、原作者の川原礫さんを始めとする各方面に熱意を持って働きかけ出版にこぎつけたとのことだそうで。

 本編のキャラは名前や一言二言のみの登場で、作中のメインキャラはこの作品オリジナルとなっていますね。

 

 1巻は正直、バトル描写ばかりでキャラの掘り下げがやや少なくドラマ性も薄く感じ、主人公無双っぷり以外は本家GGOに及ばずかなあ、と感じていたのですが。2巻からぶっ壊れキャラが本領発揮するようになってからはなかなか楽しくなってきました、親友キャラもイイ性格してますしねえ。

 戦闘描写はなるほど、さすがにガンマニアを認めるだけあって細かく、でもギリギリうるさくならない感じでさすがの内容でした。外野の批評っぷりもアレはアレで味がありますね。

 ただ地の文がですます調なのは、この作品に関しては違和感ありましたね……バトルバトル、またバトルなお話なのですから、普通にである調のがフィットすると思えました。

 4巻がいいところで次に続くとなっていましたので、続きが読みたいな、と思えるぐらいには楽しめてます。銃に関しては全く詳しくないのですが、SAO本編を読んだ上で更にこの作品に出会って、GGOもゲームで体験したいものだな、と思わせてくれてますし、これからも引き続き追い掛けていこうと思います。

織田信奈の野望 2巻

 

織田信奈の野望 2 (GA文庫)

織田信奈の野望 2 (GA文庫)

 

 アニメ化もされた人気ライトノベルの第2巻。
 軍師、竹中半兵衛やあの明智光秀も勿論美少女として登場し、いよいよ賑やかになってきました。
 いつもの主従コンビのいがみ合いもなかなかでしたが、今巻では他の武将たちや仲間との交流もぐっと描かれ、特に半兵衛のシーンは良いものでした、80点。
 何気なしに読んでみた作品ですが予想外に面白くて続きが更に楽しみなシリーズとなってくれました。 

 

織田信奈の野望

 

織田信奈の野望 (GA文庫)

織田信奈の野望 (GA文庫)

 

 アニメ化もされた人気ライトノベルの第一巻。

 タイトルは人気ゲームシリーズ「信長の野望」のもじり、ってかほぼそのままですね。

 なぜか戦国時代にトリップしてしまった男子高校生が、未来の知識を生かし奮闘していく物語、でも主だった武将たちは皆、同年代の女の子たちであった。
 とまあ、ライトノベルに限らずよくある武将の性別変化物としてどうなんだろうかと思いつつ読み始めてみたのですが、いやいや、予想外に本格的と言うか、もっと奇想天外な内容なのかなと思ってたら細かくその時代に沿った描写が多く、割りと本格的なことにちょっと驚かされました。
 キャラのやり取りは流石にライトノベルなノリですが、キャラ立ちは悪くないですし、今巻は日本史上の分岐点ともいえる桶狭間の戦いまででしたが、続きが楽しみになりましたね。

 

甘城ブリリアントパーク 1-8巻

 

 

フルメタル・パニック!」シリーズの賀東招二さんによる、廃園危機にある遊園地立て直しに奔走する面々を描いた一作。既にアニメ化もなされております。

 

 う~ん、1巻は面白かったです、テンポよく話は進みますし廃園危機を主人公の反則な力業で乗り切る所も(手法はアレでしたが)「おおっ」と思わせてくれましたし、何よりお姫様が可愛かったですし。さすがは賀東さんと思わせてくれたのですが。

 2巻以降の危機をひとまず乗り切ってからの展開は、確かにサブキャラたちを描く必要があるのも分かりますし、また主人公を軸にした三角関係描写もあるべきものですが、正直盛り上がりにはやや欠けると感じますね……まあ寄り道しないと即完結、になりかねないのも判りますが、ちょっと本筋から離れ過ぎかなあと思ってしまいます。

 最新8巻で物語の転換期を迎え、本筋も進んでいきそうなので今後には期待出来そう……かな? まあドタバタはドタバタで楽しめないこともないですが、正直賀東作品ではコメディーよりシリアスのが前作もそうでしたが好ましいですね。 

 

レベル99冒険者によるはじめての領地経営 1-3巻

 

「小説家になろう」サイト上に掲載されていた人気シリーズの商業文庫化タイトル。

 タイトル通り、チートな強さを持って世界を救った勇者一行が領地を持つことになり、今度はチート能力をふんだんに使って領地経営をしていく様を描いているわけですが。

 

 主人公が現代日本から召喚された男子高校生で、異世界には全く存在しない技術と、それを生み出せる魔術能力を持って領地を発展させていく様はなかなか楽しめましたし、ハーレムものでもありますがヒロインたちもなかなかに魅力的で会話シーンもいい感じに仕上がっていましたね。

 

 ただ正直、タイトルのような「領地経営」部分があっさりクリアなのばかりだったのが今ひとつでしたかね。バトルパート、日常パートの方が目立ってしまっていたのが、育成・発展物が好きな身としては残念に感じました。

 あと一番の不満はイラストですね……作中何度も「絶世の美女」「天上の美」と表現されているメインヒロインがとてもそう感じられないキャラデザインなのは興ざめでした。下手したら3巻から登場する幼なじみヒロインのがビジュアル的に上なのではないかと。世に出てしまった以上はもう取り返しつきませんが……どうなんでしょうねえ。

 

 2016年6月現在で5巻まで発売になっており、「小説家になろう」では既に完結しておりますが。さて、ラストまで発売になるのでしょうか……