ノベルレビューオンリー

ライトノベルレビューメインのブログ

迷宮都市のアンティークショップ 1-3巻

 

 ……う~ん、残念。

「小説家になろう」サイトにて掲載されている、迷宮が存在する都市に店を構え、迷宮に存在するアイテムを鑑定する魔法道具屋の主人とそこを訪れる冒険者との交流を描いたシリーズで3巻まで発売となっており。

 個人的には「ウィザードリィ」以来、ゲームでのアイテム鑑定要素は好み(鑑定でレアアイテムと判明したときの喜びはかなりのものが)ですので、そこにその世界観でのウンチクをアイテム紹介という形で披露しているこの作品はなかなか楽しく読んでいたのですが。

 文庫版は3巻まででそれ以降は発刊しない、つまり打ち切りとのことで……セールスが振るわなかったということでしょうが、物語はまだまだ序章、これからダンジョン攻略が本格的に描かれるであろうタイミングなだけにねえ。

 まあキャラたちが大体出揃って、過去に起きたダンジョンでの大事件に主要キャラたちが関わって3巻で決着、ではあったので一区切りではありますが、イラストの絵柄も可愛らしくてもっと文庫で読みたかったですね。

 

 ライトノベエル業界もなかなかシビアになっていく一方だとは認識していましたが、このレベルでも5巻に届かないのか、と残念になってしまう感想となりました。他の出版社で引き取るとかないのかな……

“文学少女”と穢名の天使

 

“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)

“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)

 

 ライトノベル界の中で評判になっているシリーズということで手にとってみた、その第4巻。
文学少女”を自称する、物語を文字通り食べてしまう少女(?)と、数年前の出来事で心に傷を負い、今はただ平凡な日々を過ごすことを願う少年とが、文学作品をモチーフにした事件に巻き込まれそれを解決(?)に導く姿を描いていきます。

 第四作となる今作では名作「オペラ座の怪人」をモチーフに、またもやシビアな展開を迎えるエピソードでありました。
 1巻ではホンのチョイ役だったツンデレなクラスメイトが今巻ではメインヒロインとなり、語り手の少年に対する本当の心情とその親友とのやり取りのウラにあるものが相当に重く、ラストまで読んでも爽快感は得られませんでした。
 
 次の巻ではいよいよ、語り手の少年に過去と現在に大きく影響してきた少女が出てくるようで……また相当にシビアな展開を見せることになるのでしょうね。

“文学少女”と繋がれた愚者

 

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

 

 ライトノベル界の中で評判になっているシリーズということで手にとってみた、その第3巻。
文学少女”を自称する、物語を文字通り食べてしまう少女(?)と、数年前の出来事で心に傷を負い、今はただ平凡な日々を過ごすことを願う少年とが、文学作品をモチーフにした事件に巻き込まれそれを解決(?)に導く姿を描いていきます。

 

 今作では武者小路実篤の「友情」をモチーフに、シリーズで初めて主人公の同級生にまつわる重いエピソードを描いておりました。
 そして語り手の少年の過去にもようやくと言いますか、まだまださわり程度でしょうが触れることになりこの巻はまずまず読めたかなあ、と思っていたところにラストの1ページで驚愕させられました……いやあ、まさかこう繋がってくるとは、と正直2巻までのこのシリーズは期待外れと感じていたのですがそれを一気に吹き飛ばしてくれましたね。

 これからも読まないわけにはいかないな、と思わせてくれた、まさしくターニングポイントとなる一作でした。

宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する 1-5巻

 

「小説家になろう」サイトにて掲載されている人気タイトルの商業文庫化されたシリーズ。

 現実世界で宝くじで40億もの大金を当てた青年が異世界への扉を見つけ、その世界に様々な知識・品物などを持ち込んでその地域の暮らしを豊かにしていくさまを描いております。

 

 最初、2巻まで読んだときは読みやすい文章なのは良かったものの今一つ盛り上がりを感じずやや外れかと感じていたのですが、舞台がより大きくなり、人間模様にも動きが出てきた3巻ぐらいから俄然、面白くなってきました。

 あちこちに出かけてはその地の事情を改善、現代に戻って必要な物を仕入れてまた改善、となっていくのがなかなか楽しいですし、キャラたちも個性をしっかり描かれてきましたね。個人的にはカキ氷にハマりまくる領主夫人が微笑ましかったです。

 主人公以上にチートになってしまったヒロインは正直どうかと思え今後の展開に差支えがありそうな気がするのですが、そこをうまく使いこなせたらかなりの良作になりそうです。今後を楽しみに読んでいくつもりであります。

 

”文学少女”と飢え渇く幽霊

 

 ライトノベル界の中で評判になっているシリーズということで手にとってみた、その第2巻。
文学少女”を自称する、物語を文字通り食べてしまう少女(?)と、数年前の出来事で心に傷を負い、今はただ平凡な日々を過ごすことを願う少年とが、文学作品をモチーフにした事件に巻き込まれそれを解決(?)に導く姿を描いていきます。

 第二作となる今作では英国文学の名作「嵐が丘」をモチーフに、前作同様、いや前作以上にシビアでシリアスな展開を見せ、後半の真相が明らかになっていくにつれそのエグさに驚かされました。

 

 前作のときのようなそれなりに爽やかな読後感も得られませんでしたし、文章力の確かさと”文学少女”のキャラの動かし方には作者の実力を認めるものの、この巻全体の印象はそんなに良いものはありませんでした。もう少し付き合って見るつもりですが、完結までは読まないことになりそうです。

異世界食堂 2巻

 

「小説家になろう」サイトにて連載されている異世界×料理モノを商業文庫化したシリーズの第2作。

 筆者は書店で偶然手にとった1巻の魅力にドハマリしてなろうサイト掲載分も全読するぐらい愛好するようになってしまった人間ですので、この巻も発売と同時に即購入したのでした。

前巻の拙レビューはこちら↓ 

dragonmuga0093.hatenablog.com

 今巻から本格的にウェイトレスとなるキャラが加わり、物語世界が更に広がっていきました。食堂スタッフだけで構成するエピソードも作れるようになりましたからね。

 相変わらずの巧み過ぎる料理描写には、飯テロと呼ばれるのも頷けるレベルでほんとに美味そうです。とん汁のエピソードを読んだあとは実際、どうしても食べたくなりとんかつ屋に行って定食とともに注文してしまいました、はい。

 異世界から扉を通って来店するファンタジーな客達の、それまでに出会ったことのない美味に驚きと喜びが入り交じる情景もまた、この作品の醍醐味ですね。今巻ではフェアリーたちの喜びの舞が印象的でした。

 

 ただ、大変面白く美味そうなのは確かなのですが、1巻に比べると若干、気になる部分がありました。「小説家になろう」サイトにて掲載されている原作に比べ、推敲されたのか各所に追加された文章・描写があるのですがそれが蛇足ではないかと感じる部分が正直、何箇所もありました。編集担当との協議でそうなったのかも知れませんが、個人的にはオリジナルままで良かったのではないかなあと思えてなりませんでしたね。その労力は文庫限定特別編を増やすなどに当てて欲しくあります。

 

 2巻が発売になった後、しばらく掲載がSTOPして心配でしたがようやく復活してくれて一安心でした。文庫版の方も3巻が出てくれると嬉しいです、特に個人的に大変気に入っているエピソードが載るはずですので楽しみなのですが、出来ればオリジナルに近いまま出してもらいたいですね、その方が作者の犬塚惇平さんの負担も軽いはずですし。

神曲奏界ポリフォニカ ウェイワード・クリムゾン

 

 榊一郎さんが新たにGA文庫にて手がけたシリーズ。

 キネマティックノベルというPCタイトルからの派生、ってことのようですね。


 読んでみますと、うん、まあ榊さんらしい物語のスタートの仕方かな。
 榊さんの中篇以上のシリーズではいつもスロースターターなので大きな盛り上がりって感じはしなかったですが、キャラと世界設定の紹介は十分にこなせてましたでしょうか。

 双子姉妹は今巻では顔見せ程度でしたね。まあ今後出番は増えてくるのでしょう。

 2016年現在ではライト文芸単行本として新たに展開されたようですね、そちらは未読ですが。 

“文学少女”と死にたがりの道化

 

“文学少女”と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)

“文学少女”と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)

 

 ライトノベル界の中でなかなかに評価の高いシリーズということで手にとってみた、その第1巻。

文学少女”を自称する、物語を文字通り食べてしまう少女(?)と、数年前の出来事で心に傷を負い、今はただ平凡な日々を過ごすことを願う少年とが、文学作品をモチーフにした事件に巻き込まれそれを解決(?)に導く姿を描いていきます。

 

 第一作となる今作では太宰治の「人間失格」をモチーフに、ライトなキャラ造形に似合わぬシビアでシリアスな展開を見せていきまして。
 正直、「こんな重いのが評判になるの?」と疑問に思うほどでありました。
 まあそれでも”文学少女”のキャラ設定に救われてか、読後感は悪くはなかったですが……語り手の少年の後ろ向きさがどうにも気になって、トータルではそこそこぐらいかな、という印象でした。

 今後も読んでいくつもりではありますが、展開によっては最後までは追うことはないかも知れません。

異世界チート魔術師 5巻

 

異世界チート魔術師 5 (ヒーロー文庫)

異世界チート魔術師 5 (ヒーロー文庫)

 

「小説家になろう」サイト上にて掲載されている人気作品の商業文庫化第5作。

 4巻での小競り合いを受け、今巻では内戦、そして主人公の活躍による決着までを描いていて、相変わらずのチートっぷりに更に拍車がかかっておりました。しかしここまで強くなっても更に上回る力が敵にはあるということらしく、今後はそちらを軸に展開していくことになるのかな?

 拙レビュー↓

dragonmuga0093.hatenablog.com 

 相変わらず素晴らしいのはNardackさんのイラストで、この5巻の表紙は例え見知らぬタイトルの新刊だったとしても思わず手にとってしまったことでしょう。

 この巻では恋愛模様にも少し進展があり、二人の距離がようやく縮まってきました。まあこれは1巻の時点で明らかでしたがいずれ落ち着くところに落ち着くことでしょう。さすがにハーレム展開はこの作品だと似合わないですからね。

 

 で、この巻で大きくページを使っていた戦闘パートは、う~ん、主要各キャラに活躍どころがあったとは言えますが、あちこちに場面の移り変わりが激しくて落ち着かない印象を受けましたね。もう少しすっきりとした場面展開にしてくれた方が判りやすく読みやすかったと思いますし、その方が好ましかったです。まあ主人公無双ばかり描かれても飽きてしまいがちですので、アクセントを付けることも大切かとは理解出来るのですが、構成するにもう少し削ぎ落とした方がというのが率直なところでした。

 

 まだまだ続いていきそうな物語ですが、出来たらもう少し早く次の巻を読めたらな、と期待したいですね。

扉の外 全3巻

 

 ……う~ん、シャッキリしない。 

 土橋真二郎さんの描く、修学旅行中に何らかの事件に巻き込まれ閉鎖空間となった室内での、生徒たちの動向、駆け引き、集団心理等々を巧みに描く3作品となっております。

 3作それぞれ違う主人公となっていて、それぞれのクラスでの役割(一匹狼だったりクラスの中心だったり)も違いますが、共通しているのはそれぞれのクラスが状況の変化によって追い詰められ、いじめ・排斥といった負の感情に引っ張られていくところで、それを改めようとしたり逆に利用したりしながら脱出への道を探ることに。

 

 3冊を一気に読ませるぐらい、作者の土橋真二郎さんの筆力はなかなかのものがありましたし、イラストの白身魚さんの絵柄もなかなかに好みで、刻々と変化していくクラス内の感情の変化をきっちり描いている部分には感心したのですが。

 どの巻も結末がスッキリしない、カタルシスが感じられないオチで、読み終えて「う~ん……」と首を捻ってしまいました。あえてヒーローが出現する展開にしなかったのだろうとは思いますが、それを補うようなインパクトもないとなると満足には程遠いものがありました。

 また3巻通して重要なポジションにいるキャラたちもまだナゾを残したままなのもしっくりこないものが……特に3巻のほぼラストで苦境に陥ったまま放置、ってキャラはどうにもならないのか、と思ってしまいましたね。

 

 もう一冊、シリーズ完結編となるタイトルが出ればまた違った評価になるのですが恐らくは打ち切りということなのでしょうし、「惜しいなあ」というのが最終的な感想ですね。

おれの料理が異世界を救う! 〜エルフの奴隷になんてなりません〜

 

  ライトノベルでなかなか流行っているジャンルの異世界×料理モノということで読んでみることにした一作。

 帯などの情報からすると「食戟のソーマ」の異世界転移版っぽいものかな、と認識して読み始めたのですが。

 

 う~ん、正直物足りなかったですかね……作者さんはきっちり調べていて荒唐無稽な料理とかではなかったですし、現実世界の手法で無双かと思いきや実は敵側にも対策となる手法があり、ヘンに主人公アゲになっていない点は悪くなかったのですが。

 

 まず、敵側のキャラがあまりにテンプレな性格・性向で興ざめでした。まあ蹴散らすべき存在なのは判りますが、こんな奴らが今後も敵として立ちはだかるとなると(彼らの師匠のことを考えるとそうなるのでしょうが)、あまり読みたい話にはならなそうに感じます。

 料理が素晴らしいという表現をヒロインたちの官能的な表情・仕草でイラスト挿入してくるのは、それこそソーマライクな表現で悪くはないと思いますが、実際の料理のビジュアルも大きくないと今ひとつ伝わってこないようにも感じました。最後のオムライスはだから良かったし印象にも残ったので、他の料理シーンでももっともっとあると良かったですね。

 

 その世界の神となる存在が包丁に宿ってるとか、エルフが悪い意味でやけに俗っぽいとか学園長とか興味深い設定もあったので惜しい気もするのですが、2巻出たとしても新刊即買いすることはないかなあ、というのが最終的な評価でありました。

12月のベロニカ

 

12月のベロニカ (富士見ファンタジア文庫)

12月のベロニカ (富士見ファンタジア文庫)

 

 数少ない富士見ファンタジア大賞受賞作。
 騎士と姫と女神……とファンタジーな世界を舞台に、その身を狙われる「眠り姫」とそれを護る騎士、そして謎の青年が織り成す愛と永遠の物語、とでも言いますか。

 確かにこの作者、デビューするだけの筆力はあります、最初の10ページを読んだだけでそれは感じたんですが……読んだ当時の率直な意見として「これがホントに大賞を獲ったの?」と首を傾げてしまいました。
 キャラがいきいきと動いているわけでもないし、せつないお話、ってやつもPCゲームや一部コンシューマゲームなでどありふれている昨今、それを上回るどころかその域に達してもいないような印象を残念ながら受けてしまいました。
 
 あと、これはわざとやってるんでしょうが、物語途中で筋が読めてしまうようなネタばらしをやってしまってるのも興ざめでした……ラスト手前付近まで引っ張った方がまだしも納得出来たんですがね。
 ヒロインも立場上、仕方のない面があるとはいえ、存在感が薄かったのも残念であります。

 佳作ならばともかくこれが大賞とは……と、不思議に思った作品でした。

ドラゴンズ・ウィル

 

ドラゴンズ・ウィル (富士見ファンタジア文庫)
 

 現在はライトノベル作家として大活躍されている榊一郎さんの商業デビュー作。

 富士見ファンタジア大賞の準入選作とのことでした。

 で、発売されて割りとすぐに読了したのですが、なるほど、これはなかなか面白い。ファンタジア大賞準入選、というのも頷ける作品でした。

 この作品は、何と言っても設定の勝利でしょう。園芸や陶芸を趣味にする、っつうえらく変わっているドラゴンに、なぜか戦いを挑む10代前半の少女との交流などなど、目新しい設定がてんこ盛りでしてやられた感がありましたね。その脇を固めているのもひとくせもふたくせもある少女の兄やメイドさん、口喧嘩仲間の少女などなど、なかなかに個性的な面々で読んでて飽きなかったです。
 ちと敵側の方がいかにもなテンプレ設定な連中ばかりだったのが気にはなりましたけれども、まあ不満というほどでもなかったですしね。

 榊さんの筆力も当時から高いものが窺えました。まあこれだけ魅力的な設定を産み出すことが出来れば、あとはちゃんとキャラを動かしてやれば良かっただけなのかも知れませんが、それに失敗するとすべて台なしになってしまうわけで、そうならなかったことは評価すべきなのでしょうから。

 ま、後書きで外伝的な後日譚を~とか書いてましたが、これはこれできれいにまとまっているんだから、出すこともないんじゃないかな、とか思いました。
 榊一郎ファンなら是非手に取るべき一冊でしょう。

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1-10巻

 

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 10 (GA文庫)

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 10 (GA文庫)

 

 

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 文庫 1-9巻セット (GA文庫)

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 文庫 1-9巻セット (GA文庫)

 

  大森藤ノさんによる、英雄を目指す冒険者たちとそれを見守る神々を描いたファンタジーライトノベル

 アニメ化も果たされ、そちらでは紐に関するネタで一時期話題となっておりました。また筆者は存じなかったのですが「小説家になろう」にも投稿されていたことがあるそうです、今は削除済みとのこと。

 

 人気作品となり注目を集めていたことで読み始めたのですが、なるほど、なかなかに面白い。特にバトル描写に熱いものがありましたね。主人公の戦闘での成長スピードはそれこそチートレベルですが、強敵相手に力を尽くして戦い、また仲間も葛藤を越えて共に戦い、切り札を切ってついに打ち破る、その様がとても心地よいものでした。ここ数巻はちょっとカタルシス不足ですが、3巻と5巻のバトルは本当に筆が乗っている感が伝わってきましたね。

 

 ギリシャ神話な神々と冒険者たちとの関係、やり取りもなかなか楽しいですね。神々たちはかなり個性的で、自分達の遊びのために冒険者たちを振り回すような存在で、しかし神によっては冒険者と恋愛にまで発展してしまうとか、今までの読書歴で読んだことのない展開となっていてかなり新鮮でした。

 

 主人公やヒロイン陣のキャラにもう一つハマれていない部分もあり諸手を上げて絶賛とはいきませんが、段々とこの地下迷宮のナゾにも迫っていますし、今後も期待作の一つとして読んでいきたいと思います。

 

りゅうおうのおしごと! 3巻

 

りゅうおうのおしごと! 3 (GA文庫)

りゅうおうのおしごと! 3 (GA文庫)

 

 将棋を題材にした白鳥士郎さんのシリーズ第3作。

 今巻は白鳥さんが一番描きたかったことをテーマにすると2巻後書きで触れていましたので、結構な期待をして読み進めていたのですが……なるほど、このシビアな状況に心折れそうになりながらも必死に立ち向かっていく展開、そして結末。

 将棋の奨励会・研修会の年齢制限のことは学生だった30年近く前、将棋新聞とか買ってたりして将棋に興味持っていたので多少聞き及んでいましたが、やはり凄いドラマが数々あるのでしょうね……それを小説として描きたかった、読者に伝えたかったという心情はとても伝わってきました。

 

 主人公にも最強の存在との対戦へ向けての道筋が着々と描かれていて次巻以降の激突に期待させる展開もありましたが、やはり今巻は「清滝桂香」というキャラの物語に尽きるのではないでしょうか。

 挿絵の構図の取り方がいいな、とか、その他にも感じたことはあったのですけどね。

 

 でも漫画「3月のライオン」もそうですが、棋士を深く描く作品はとても面白いのですが、その勝負の世界としてのシビアさもまた心に響いてくるものがありますね……