ドラゴンズ・ウィル
現在はライトノベル作家として大活躍されている榊一郎さんの商業デビュー作。
富士見ファンタジア大賞の準入選作とのことでした。
で、発売されて割りとすぐに読了したのですが、なるほど、これはなかなか面白い。ファンタジア大賞準入選、というのも頷ける作品でした。
この作品は、何と言っても設定の勝利でしょう。園芸や陶芸を趣味にする、っつうえらく変わっているドラゴンに、なぜか戦いを挑む10代前半の少女との交流などなど、目新しい設定がてんこ盛りでしてやられた感がありましたね。その脇を固めているのもひとくせもふたくせもある少女の兄やメイドさん、口喧嘩仲間の少女などなど、なかなかに個性的な面々で読んでて飽きなかったです。
ちと敵側の方がいかにもなテンプレ設定な連中ばかりだったのが気にはなりましたけれども、まあ不満というほどでもなかったですしね。
榊さんの筆力も当時から高いものが窺えました。まあこれだけ魅力的な設定を産み出すことが出来れば、あとはちゃんとキャラを動かしてやれば良かっただけなのかも知れませんが、それに失敗するとすべて台なしになってしまうわけで、そうならなかったことは評価すべきなのでしょうから。
ま、後書きで外伝的な後日譚を~とか書いてましたが、これはこれできれいにまとまっているんだから、出すこともないんじゃないかな、とか思いました。
榊一郎ファンなら是非手に取るべき一冊でしょう。
ダ・ヴィンチ・コード(下)
説明不要な大ベストセラー、完結編です。
日本でさえ関連書も多数出ており、世界的な話題をかっさらった作品ですね。
前巻からの展開を受けて逃避行を続ける主人公達、著名な美術作品、そして伝説に隠された謎に迫ったとき、黒幕が登場し彼らを危機に陥れる……
というクライマックスに向け大いに盛り上がり、なるほど評判になるのも頷けるところでした。
ただ個人的には割と早く黒幕の見当がついてしまったのと、下巻に入ってからの敵側の動きがグダグダに感じられ、やや興ざめしてしまったところがあって、手放しで絶賛する心境には到りませんでした。
しかし読んでいた時間の大半は面白く感じていたことも確かで、さすがの内容でした。間違いなく一読の価値がある作品でしたね。
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ダ・ヴィンチ・コード (上)
説明不要、日本でもベストセラーになった一冊です。
翻訳ものはどうも文章がぎこちなく感じることが多く、あまり読まないのですが、コレは若干違和感がないでもないですが、そう気にせず読めました。
キリスト教やレオナルド・ダ・ヴィンチに関しては筆者は一般常識以上のことは知りませんので、詳細に説明する文章描写にやや付いていけないように感じる部分もありましたが、殺人事件に巻き込まれた男女二人がその不可解なダイニングメッセージの謎を解くべく、警察の目をかいくぐりながら逃避行を続けていく展開はなかなかに楽しめます。
物語の核心に迫っていく下巻も、もちろん読まねばなりませんね。
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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1-10巻
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 10 (GA文庫)
- 作者: 大森藤ノ,ヤスダスズヒト
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- 発売日: 2016/05/13
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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 文庫 1-9巻セット (GA文庫)
- 作者: 大森藤ノ
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
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大森藤ノさんによる、英雄を目指す冒険者たちとそれを見守る神々を描いたファンタジーライトノベル。
アニメ化も果たされ、そちらでは紐に関するネタで一時期話題となっておりました。また筆者は存じなかったのですが「小説家になろう」にも投稿されていたことがあるそうです、今は削除済みとのこと。
人気作品となり注目を集めていたことで読み始めたのですが、なるほど、なかなかに面白い。特にバトル描写に熱いものがありましたね。主人公の戦闘での成長スピードはそれこそチートレベルですが、強敵相手に力を尽くして戦い、また仲間も葛藤を越えて共に戦い、切り札を切ってついに打ち破る、その様がとても心地よいものでした。ここ数巻はちょっとカタルシス不足ですが、3巻と5巻のバトルは本当に筆が乗っている感が伝わってきましたね。
ギリシャ神話な神々と冒険者たちとの関係、やり取りもなかなか楽しいですね。神々たちはかなり個性的で、自分達の遊びのために冒険者たちを振り回すような存在で、しかし神によっては冒険者と恋愛にまで発展してしまうとか、今までの読書歴で読んだことのない展開となっていてかなり新鮮でした。
主人公やヒロイン陣のキャラにもう一つハマれていない部分もあり諸手を上げて絶賛とはいきませんが、段々とこの地下迷宮のナゾにも迫っていますし、今後も期待作の一つとして読んでいきたいと思います。
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りゅうおうのおしごと! 3巻
将棋を題材にした白鳥士郎さんのシリーズ第3作。
今巻は白鳥さんが一番描きたかったことをテーマにすると2巻後書きで触れていましたので、結構な期待をして読み進めていたのですが……なるほど、このシビアな状況に心折れそうになりながらも必死に立ち向かっていく展開、そして結末。
将棋の奨励会・研修会の年齢制限のことは学生だった30年近く前、将棋新聞とか買ってたりして将棋に興味持っていたので多少聞き及んでいましたが、やはり凄いドラマが数々あるのでしょうね……それを小説として描きたかった、読者に伝えたかったという心情はとても伝わってきました。
主人公にも最強の存在との対戦へ向けての道筋が着々と描かれていて次巻以降の激突に期待させる展開もありましたが、やはり今巻は「清滝桂香」というキャラの物語に尽きるのではないでしょうか。
挿絵の構図の取り方がいいな、とか、その他にも感じたことはあったのですけどね。
でも漫画「3月のライオン」もそうですが、棋士を深く描く作品はとても面白いのですが、その勝負の世界としてのシビアさもまた心に響いてくるものがありますね……
空の境界 下巻
「月姫」で大ブレイクした奈須きのこさんが描く、もう一つの「直死の魔眼」を持つ主人公の物語の完結編。
いやあ、あのブ厚い上下巻を一気に読んでしまうぐらい、先が気になって止められない感覚は素晴らしいものでした……最後の章「空の境界」を読了後の満足感は相当なものでしたね。奈須さんの文体は小説媒体では特にクセが強いのですが、全く気になりませんでしたし。
ただまあ、やはり(ゲームとの比較になりますが)「月姫」のが好みではありました。これはもう、ヒロインの魅力と戦闘の迫力がより月姫のが筆者にとって好ましかったとしか言えません。
いかにもラスボスなキャラのエピソードもあそこで終結させるよりはもっと後半のが良かったように感じましたしね。
蒼崎姉妹ではやっぱり妹がおいしい所をかっさらっていきそうではあるなあ、なんて印象を受けましたか。
とはいえ出会えて良かった一作であったことは間違いありません。
アニメ(映画ですが)も奈須作品としては初めて(?)成功したのではないかと思いますし。
空の境界 上巻
「月姫」で大ブレイクした奈須きのこさんが描く、もう一つの「直死の魔眼」を持つ主人公の物語。
両儀式という、複雑な人格ととんでもない異能力を持ってしまった主人公と、その同級生である黒桐幹也という少年を中心に「死」を意識させるエピソードがこれでもか、と出てきます。
奈須さんの筆力は「月姫」でも存分に認識させられましたがやはり読ませるに足るもので、上巻だけでも分厚いですが先が気になって一気に読まされてしまいました。
「月姫」の成分を多く含んで設定的にもかなり重なっているので、そちらに魅せられた人間にとっては今作でそれらのキーワードが出てくる度にニヤリとさせてもくれましたね。
今巻では「モノを自在に曲げる」異能力者とのバトルが印象深かったです。
そのエピソードで最後に殺したのがアレ、ってのに「おおっ」と思わされたものでした。
下巻で完結になりますが、この巻のラストであのような展開になるだけに一緒に読まないとストレスが溜まると思います、読まれる方は是非(高いですが)まとめてお求めになった方がよろしいかと。
Fate/strange Fake 1-3巻
- 作者: 成田良悟,森井しづき,TYPE-MOON
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2016/05/10
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- 作者: 成田良悟,森井しづき,TYPE-MOON
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/05/09
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- 作者: 成田良悟,森井しづき,TYPE-MOON
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/01/10
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「デュラララ!!」などを執筆している成田良悟さんが描くとある聖杯戦争。
「Fate/stay night」のスピンオフタイトルの内の一作で、アメリカで起こる偽物の聖杯を巡る争いとなっていますね。元々はエイプリルフールネタであったそうで。
偽物といってもギルガメッシュをはじめお馴染みのサーヴァントなども出てきますし、ちょくちょく本家やスピンオフなFate作品を匂わす記述も出てきます。
個人的にはFateが爆発的にゲーム・アニメ・コミックに広まってからインパクトが薄れてしまった「月姫」とリンクしている部分がちょこっと出てくるあたりが「おおっ」と思わずニヤリとさせてくれます。どうやら吸血種は今後も物語に関わってくるみたいですしね。
マスターの一人がFate/ZEROの主要キャラと密接に関わっているあたりも、動向がとても気になりますね。
3巻でようやくサーヴァントが出揃った感じでこれから本格バトルとなっていきそうです。しかしギルガメッシュは相変わらずですなあ。
成田さんの作品を読むのはこのシリーズが初めてなのですが、割と読みやすい文体ですね、もっとクセがあるのかと思っていたのですが勘違いでありました。
「成田さんの考えた聖杯戦争」、今後も楽しませてくれそうであります。
魔法科高校の劣等生SS
タイトルが示す通り、外伝となるSS5編をまとめた作品。
主人公は脇に回り、数多くのサブキャラ達の物語が繰り広げられております。
本編の方はここ数巻、学園要素がかなり薄くなっていましたので九校戦(各学校競技対抗戦)にスポットが多く当たっているエピソードは新鮮でしたね。
主人公無双は影を潜めているかと思いきや、ライバル校の参謀を手玉に取りまくって歯軋りさせるシーンを描かれていたりもしていました。
個人的に見所だと思ったのは最後のエピソード、本編初期に特に活躍したクラスメート二人が実は知らない所で縁があった、そこにまつわる騒動ってのが書き下ろしだけあって力が入っていたように読めましたね。
作者の佐島勤さんもこの二人でスピンオフ書くつもりもあったとのことで、なるほどと頷ける部分がありました。
この作品もどうやら結末に近づいているようです、タイトルから考えて高校卒業までを描くのかと思いますので、もうしばらく付き合うと致しましょうか。
東京皇帝☆北条恋歌 全13巻
東京皇帝☆北条恋歌 文庫 全13巻完結セット (角川スニーカー文庫)
- 作者: 竹井 10日
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2014/03/29
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テキストの軽妙さ・愉快さには定評のある竹井10日さんのライトノベルでの代表作になるのかな?
謎の生物、怪蟲(ウエポン)に脅かされる世界で、その舞台の謎に迫り脅威を取り除く運命に巻き込まれていく主人公の少年と、東京皇帝な少女とその側近の少女たちの物語を描いているわけですが。
まあ竹井10日さんらしい抱腹絶倒なやり取りが全巻通して楽しく、正直主人公の成長ぶりとかはあまり意識せず読んでいました、個人的にはぶっ飛び系の竹井主人公のが好きなので、どうにかすると存在感がなくなってしまいがちな今作の主人公に違和感があったりもしたのですけどね。
まあしかし、主人公ラブ過ぎる妹とか、合法ロリと自分で言っちゃう少女とか、よくぞこんなキャラを立ててこうも動かしまくれるものです、コメディに関する竹井10日さんの才能・表現力は本当に凄いと改めて感じました。何度か読み返してもつい笑ってしまいます。
今巻で一番驚いたのがあとがきで明かされた地の文章によるツッコミの秘密でした、全くの想定外で、いや、してやられたと思いましたね。あとがきであのように書かれると確かにまた最初から読み返したくなります 。
竹井ワールドでの強キャラも相当出てきて、かなりの存在感を示してはいますが、ちゃんと主人公たちの物語にはなっていて一安心でした。彼らの物語にもいずれ出会えるのでしょうか、ってかポケロリはどうなっているのか。
個人的には頭のネジが外れた主人公な竹井作品のが好きではありますが、今作は脇キャラがぶっ飛んでいてこれはこれで楽しく読めたシリーズでした。
IS〈インフィニット・ストラトス〉 8巻
IS〈インフィニット・ストラトス〉 8 (オーバーラップ文庫)
- 作者: 弓弦イズル,CHOCO
- 出版社/メーカー: オーバーラップ
- 発売日: 2013/04/24
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MF文庫からのレーべル移籍によってようやく世に出た8巻。
何やら移籍騒動には色々と作者の悪評が出ていたようで。確かに今巻のあとがきはかなり低レベルでしたね、殴り書きか、って感じでした。
7巻までとやや雰囲気は変わった感じを受けました、ページめくってすぐにアダルトコミックかと思うようなきわどすぎるイラストで、読み進めていくと確かに本文の内容をイラスト化したものでした。イラスト担当の人は変更になりましたが、やはり違和感はありましたかね。
ヒロインたちも元々チョロイン揃いではありましたが、今回は輪にかけてアレでしたね、まあメイン格だけは格好をつけた感もありますが。
今回はIS機体がオーバーホール中ってことでしたが、白兵戦となった主人公姉のバトルはなかなかだったと思いましたね、格上としての戦いぶりが様になっていたかと。
まあMF文庫版の時点でも特に凄い作品だとか思っていたわけではないので、ひどいひどいと聞いていたほどでもなく、あとがき以外はこんなものかと読めました。
一応、続巻も付き合うつもりであります。
フルメタル・パニック! 全12巻+外伝1-11巻
フルメタル・パニック! 文庫 全23巻 完結セット (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 賀東招二
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2016/05/20
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3度のアニメ化(4度目もあるとか……)やスーパーロボット大戦シリーズ参戦など、数多くのメディア化を果たしたミリタリーアクション作品。
高校の転校生として奮闘するも慣れない学生生活で問題ばかり起こす主人公の少年と、それにツッコミを入れる護衛対象のヒロインのやり取りを全11巻中の前半と外伝で主に描きつつ、後半はシビアな戦闘の連続と、舞台設定の謎明かしでシリアスにまとめあげられ、読み応えのあるシリーズでありました。
賀東招二さんの描写力も、特にミリタリー部分に関してはとても巧みなものがあったと感じましたね、後半に差し掛かる部分でのシビアな展開には驚かされましたし、でもラストは大団円でしっかりと締めくくられておりました。
ダブルヒロイン展開と見せておいて中盤であっさり一人に絞るパターンは目新しかったですね、初めて体験したかも知れません。ただ個人的にはメインのヒロインのキャラは好みではなかったので……まあ物語としてはそうなるしかないことは理解出来ますけどね。
現在は別作者による(賀東さんも監修しているようですが)アナザーシリーズも刊行されております。
個人的にはゲームではスパロボシリーズを愛好しておりますので今後もエピソードを体験することになるでしょう、きっと。
タイタニア 全5巻
タイタニア 1<疾風篇>2<暴風篇>3<旋風篇> (講談社ノベルス)
- 作者: 田中芳樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/08/07
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完結したことに意味がある。
自らにそういい聞かせるしかないぐらい間の空いた、徳間版1巻からなんと26年かけて完結という、長い長い旅路の末に完結に至った、田中芳樹さんの紡ぐスペースオペラ小説です。「銀河英雄伝説」という、日本小説に残るであろう(大げさ?)大傑作を受け継いた、新たな宇宙叙事詩がスタートしたときには胸がワクワクしたことを覚えております。
宇宙に覇を唱え、対立側の弱小さも相まって傑出した存在となった「タイタニア」という組織の強大さと、そこに稀有な軍事的才能を持ってしまっていたことで追われ、生き残るために弱小ながらも戦っていくファン・ヒューリック一党の両陣営を重厚に描かれ、銀英伝よりはややスケールが小さいながらも「さすが田中芳樹!」と先が気になって仕方がなかったのですが。
3巻刊行の後、長らく続きが出ないこととなってしまいました……その間、田中芳樹さんも別作品は執筆したり翻訳したりはしていたものの、スペースオペラや歴史ファンタジー物はどれも断筆状態になっており、あるいは他作家による継続執筆になってしまったりで、大変落胆させられました。ええ、もう。
ですが長い空白期間の後、タイタニアに関しては続きが執筆され、かなりダイジェストっぽい内容でしたがとにかく完結まで描いてくれたのでした。
まあ、生きている間に完結を迎えられたのは素直に喜ばしいですが、色々と残念というか、田中芳樹さんの構想力・筆力の衰えが随所に感じられたことは確かでした……ラスボスは1巻の時点でほぼ明らかでしたが、あんな展開、あんなオチとかちょっとね、って感じで。ファン・ヒューリックもこれだと宇宙史に深く名を刻むだけの功績、とはとても言えないような、まあタイタニア没落のメインキャストの一人ではありましたけど。
イラスト担当も道原かつみさんで終わることが出来れば良かったのですが、講談社ノベルスの方はアニメに合わせてるので、趣が不足しているように感じましたね。
まあ田中芳樹さんの手によって終結したことだけは良かったですが、氏の全盛期にラストまで読みたかった作品でした。
名もなき毒
……いやあ、怖い。
とある主要キャラのやってきたこと、最後にやったこと、それらを思うにおぞましくも恐ろしい心情になりました。
宮部みゆきさんの杉村三郎シリーズの2作目ということを知らずに読み始めた作品でしたが、上記キャラの、ヒステリックな行動のインパクトがとても強かったですね。
宮部さんの巧みな文章表現力で描かれる主人公の家庭・職場でのやり取りなど、読み進める意欲が湧く要素も多々あるのですが、何しろそのキャラがこの作品のメインテーマを担っているも同然なので、しばしばページをめくる作業をSTOPしてしまい、再開するのに時間がかかったりもしました。結婚式でのアレは正直、吐き気がしましたね。
色々と他に語るべき部分もあるはずなのですが、あのキャラに全てを持って行かれたように思えた作品でした。
まあでも、文庫版を読みましたが、文庫としても分量は多い方ですが、読み応えはしっかりありますし、一読する価値はある、とは言えますね。
学戦都市アスタリスク外伝 クインヴェールの翼
学戦都市アスタリスク外伝 クインヴェールの翼 (1) (MF文庫J)
- 作者: 三屋咲ゆう,okiura
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
- 発売日: 2016/04/25
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2016年4月現在、TVアニメ化され放映中の「学戦都市アスタリスク」の外伝に当たる一冊で、本編ではあまりスポットが当たっていないクインヴェール女学園の中で奮闘する少女が、参謀となるクールビューティーな少女と共に仲間を集め、5人での団体戦での大会出場を目指すことになります。
最初にコミックで出ていたものを原案担当の原作者がライトノベル版として新たに発刊したということみたいですね、コミック版は読んでないのですけど。
作者の三屋咲ゆうさんがあとがきで記している通り、本編よりも明快な、さっぱりしているというかお約束の展開で進んでいますね。主人公の少女も夢に向かって突き進む(ただしそれをいなされるとあっさり負ける)キャラで、それをサポートするミステリアスな少女が頭を抱えつつ、有効な手段を助言することで何とか戦えるようになっていく、仲間になる他のキャラたちもそれぞれに弱点を持っていますが、お互いに補っていくことでチームとしてまとまりを見せていくようになっていましたね。
まあ本編で大きな活躍をすることは今後もないのでしょうけど、どんどん成長していく過程を楽しめるという点では本編に負けていないように思います、本編主人公の綾斗は剣技においては1巻の時点で既に相当な強キャラですからね。
謎めいた少女の事情も気になるところで、少女たちの成長物語、今後も読んでいきたいと思えた作品でした。