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第七異世界のラダッシュ村

 

第七異世界のラダッシュ村 (星海社FICTIONS)

第七異世界のラダッシュ村 (星海社FICTIONS)

 

「異世界居酒屋のぶ」の蝉川夏哉さんによる、異世界に漂着してしまった5人による村作りを描いた異世界開拓記。

 今作は導入ということで、接近遭遇からの居場所づくり、各キャラ紹介がメインとなっておりました。

 

 うん、キャラの個性が出てくるようになってきた中盤以降はなかなか楽しめるようになってきました。医師として神経質なまでに異世界交流に慎重になりつつ、趣味の釣りに関しては全くもって遠慮しないというキャラがいい味出してましたね。「のぶ」の蝉川さんらしく料理薀蓄・描写はさすがでトマト食べたくなっちゃうぐらいでしたし、苦労しながらも農業や水路づくりに励む様も割と面白く読むことは出来ました。

 

 ただ今巻通じてほとんどカタルシスのないというか平坦な展開に感じたのはやや残念でした。主人公も普通の青年なので仕方ないですが、個人としての魅力は感じなかったですね。あるキャラの危機を救うなど活躍していないわけではないですが、今後の更なる成長に期待ってところでしたか。

 あと表紙イラスト、絵柄はいいと思いますが「物語中盤まで男の子と認識されていた」キャラには見えないのはどうなのかなあ。イラストではヒロインヒロインしていて本文とのギャップが。

 

「のぶ」のような短編構成でない分、今巻全体の構成としてはもう少しメリハリは欲しかったと思いますが、大きな流れの中での序章となればこれもアリなのかも知れません。ラストであの展開となったからには続巻もあるものと思いますので引き続き読んでいきたいですね。