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スクラップド・プリンセス 全13巻+短編集 全5巻

 

 榊一郎さんの代表作であるファンタジーノベル。

 タイトルの通り主人公の少女が実は王女であり、理由あって追われる立場となり義理の兄・姉と共に逃亡の旅を続けつつ反撃していく展開となっております。

 

 いや、シリーズ前半の兄と妹の愉快過ぎるやり取りは本当に楽しかったです。なんやかんや難癖つける妹に対し面倒くさそうに、でも律儀に対応する兄の構図がもう、とっても素敵。前半は本当に次巻の発売が楽しみで仕方なかったですね。

 途中から出てくる竜機神の少女もなかなか良いキャラでした。秘密を抱えながらもポイントポイントでしっかりと存在感を示し、秘められた過去が判明したときもその超展開っぷりに驚きはしたもののそのような存在故の悲しみは伝わってきました。

 

 シリーズ中盤以降の重くなっていく雰囲気は、初期設定からして仕方ないとはいえ前半とのギャップが大きく、前半のノリが好きだった身としてはもう一つ物語に入り込めない感じでした。オチに不満があるわけではないですが、ここまでガラッと変わらないように収まらなかったのかなあ、とちょっと残念に思ったのが正直なところです。

 

 ただまあ、最後まで読んで、多くの巻で楽しませてくれたことは確かですし、榊さんの作品をこれ以降も読んでいこうと思わせてくれたシリーズだったことは間違いありません。

「なかなかの良作」というのが最終的な評価になりますかね。