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ドラゴンズ・ウィル

 

ドラゴンズ・ウィル (富士見ファンタジア文庫)
 

 現在はライトノベル作家として大活躍されている榊一郎さんの商業デビュー作。

 富士見ファンタジア大賞の準入選作とのことでした。

 で、発売されて割りとすぐに読了したのですが、なるほど、これはなかなか面白い。ファンタジア大賞準入選、というのも頷ける作品でした。

 この作品は、何と言っても設定の勝利でしょう。園芸や陶芸を趣味にする、っつうえらく変わっているドラゴンに、なぜか戦いを挑む10代前半の少女との交流などなど、目新しい設定がてんこ盛りでしてやられた感がありましたね。その脇を固めているのもひとくせもふたくせもある少女の兄やメイドさん、口喧嘩仲間の少女などなど、なかなかに個性的な面々で読んでて飽きなかったです。
 ちと敵側の方がいかにもなテンプレ設定な連中ばかりだったのが気にはなりましたけれども、まあ不満というほどでもなかったですしね。

 榊さんの筆力も当時から高いものが窺えました。まあこれだけ魅力的な設定を産み出すことが出来れば、あとはちゃんとキャラを動かしてやれば良かっただけなのかも知れませんが、それに失敗するとすべて台なしになってしまうわけで、そうならなかったことは評価すべきなのでしょうから。

 ま、後書きで外伝的な後日譚を~とか書いてましたが、これはこれできれいにまとまっているんだから、出すこともないんじゃないかな、とか思いました。
 榊一郎ファンなら是非手に取るべき一冊でしょう。