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タイタニア 全5巻

 

 

タイタニア4<烈風篇> (講談社ノベルス)

タイタニア4<烈風篇> (講談社ノベルス)

 

 

タイタニア5 <凄風篇> (講談社ノベルス)
 

  完結したことに意味がある。

 自らにそういい聞かせるしかないぐらい間の空いた、徳間版1巻からなんと26年かけて完結という、長い長い旅路の末に完結に至った、田中芳樹さんの紡ぐスペースオペラ小説です。「銀河英雄伝説」という、日本小説に残るであろう(大げさ?)大傑作を受け継いた、新たな宇宙叙事詩がスタートしたときには胸がワクワクしたことを覚えております。

 

 宇宙に覇を唱え、対立側の弱小さも相まって傑出した存在となった「タイタニア」という組織の強大さと、そこに稀有な軍事的才能を持ってしまっていたことで追われ、生き残るために弱小ながらも戦っていくファン・ヒューリック一党の両陣営を重厚に描かれ、銀英伝よりはややスケールが小さいながらも「さすが田中芳樹!」と先が気になって仕方がなかったのですが。

 3巻刊行の後、長らく続きが出ないこととなってしまいました……その間、田中芳樹さんも別作品は執筆したり翻訳したりはしていたものの、スペースオペラや歴史ファンタジー物はどれも断筆状態になっており、あるいは他作家による継続執筆になってしまったりで、大変落胆させられました。ええ、もう。

 ですが長い空白期間の後、タイタニアに関しては続きが執筆され、かなりダイジェストっぽい内容でしたがとにかく完結まで描いてくれたのでした。

 

 まあ、生きている間に完結を迎えられたのは素直に喜ばしいですが、色々と残念というか、田中芳樹さんの構想力・筆力の衰えが随所に感じられたことは確かでした……ラスボスは1巻の時点でほぼ明らかでしたが、あんな展開、あんなオチとかちょっとね、って感じで。ファン・ヒューリックもこれだと宇宙史に深く名を刻むだけの功績、とはとても言えないような、まあタイタニア没落のメインキャストの一人ではありましたけど。

 イラスト担当も道原かつみさんで終わることが出来れば良かったのですが、講談社ノベルスの方はアニメに合わせてるので、趣が不足しているように感じましたね。

 

 まあ田中芳樹さんの手によって終結したことだけは良かったですが、氏の全盛期にラストまで読みたかった作品でした。