七都市物語
田中芳樹が未来世界の用兵家たちの活躍を描く短編連作集。
大転倒と呼ばれる惨事が起こり、全く様相が変わってしまった地球を舞台に、大規模な会戦やら、小規模ながら虚々実々のやりとりやら、さまざまな物語が紡がれております。
いや、この作品の頃の作者の筆の見事さはまた格別ですね。
よくもこんな豊かな表現を駆使出来るものだと、当時は思ったものでした……いや、今もですが、その頃は特に強烈でしたね。名セリフの宝庫ですからねえ。
キャラクター達の魅力もハデさはあまりないもののじっくりと描かれており、用兵家達の虚々実々のやりとりはあの「銀河英雄伝説」をも上回るのではないかと思ったものでした。
主人公格のキャラ達の力が均衡しているように描かれていたのが新鮮でもありましたね。
個人的にはギュンター・ノルトのあり方に魅力を感じました。
しかしこのシリーズ、1巻出た後に作者の手を離れてしまいました……田中作品の未完結シリーズの中ではタイタニアに次いで期待していただけに残念無念であります。
ずっと待っていたのですがね……