ノベルレビューオンリー

ライトノベルレビューメインのブログ

ソードアート・オンライン 18巻

 

 大人気シリーズのアリシゼーション編クライマックスとなる18巻。

 主人公キリトがとうとう復活、物語は最終局面を迎えます。

 

 前巻までの拙レビューはこちら↓ 

dragonmuga0093.hatenablog.com

 あまりに長すぎたアリシゼーション編がようやく完結してくれてホッとしました。

 さすがに長すぎましたし、描写が多すぎて、あるいは作者の川原礫さんが描きたいことを全面投入した結果だったのかも知れませんが、一読者としてはもっともっと簡潔にしてもらわねば惰性でしか読めないよなあというのが率直な印象でしたね。

 

 この巻ではキリトが神が如く、途方も無い力を奮って(敵側も相当な力で対峙はしているのですが)アンダーワールドという世界を救うべく戦っているのですが、大本のアインクラッドが大きく関係してくる部分は良かったですし盛り上がりも感じましたし、一つの決着がついたことに安堵のような心情も浮かびました。

 

 ただ、あのエピローグは、ちょっとねえ……まああの主人公ならあの選択するだろうとは思いますが、周りがかなり緩くないですかね、瀕死の状態から復活したばかりなのに。疑問に感じた次第でした、まあこんな大人気シリーズを終わらせるわけにはいかない、というメタな理由も十二分に理解は出来ますけどね。

 

 まあここまで来たら最後まで付き合うことになると思いますが、出版社との兼ね合いもあるでしょうがダラダラと続けずビシッと締めくくってもらいたいものです。 

 

 

人類は衰退しました 全9巻

 

 美少女ゲームの著名シナリオライターである田中ロミオさんの、ライトノベル進出タイトル第一作となるシリーズ。

  戦争などを繰り返し衰退してしまった人類に代わり、新たに地球で多数を占めることになる存在、それはなんと妖精さんでした。……とまあ、何と言っても設定の勝利ですね、こんな世界はちょっと見たことなかったです。

 また妖精さんたちの愉快なキャラクターがまたいい……人見知りで、お菓子が大好きで、懐いたらポコポコ湧いてきて、でも鬱になると丸まっていなくなってしまう、何とも不可思議で目の離せない連中でしたね。

 語り部である「わたし」ちゃんも実にイイ性格しておりましたし、人類の緩やかな衰退感も味わい深いものがあり、独特の雰囲気が大変心地よい世界でした。

 

 途中でイラストレーター変更になったのは少し残念でしたが、代わった戸部さんもさすがに長く一線で活躍なさっておられますし、何より絵柄が近かったので違和感がほとんどなかったのが素晴らしい。

 実はPCゲームの田中ロミオシナリオは一作しかプレイしたことないのですがそれが本当に心に残る作品(「家族計画」)でしたし、長編の田中ロミオ作品にハズレなし、ってことなのかな、なんて思えたシリーズでした。

 

 

転職の神殿を開きました 1-2巻

 

転職の神殿を開きました(2) (モンスター文庫)

転職の神殿を開きました(2) (モンスター文庫)

 

 

転職の神殿を開きました(1) (モンスター文庫)

転職の神殿を開きました(1) (モンスター文庫)

 

「小説家になろう」サイト上にて人気を博している、ファンタジーシリーズ。

 異世界転移させられた主人公の青年がその際、他人に大きな力を与えることの出来る転職能力を得て、その力で活躍(?)する姿を描いております。

 

 最初、タイトルを見たときはタイトル落ちだったりしないかと懸念もあったのですが、読んでみるとこれが実に面白い。

 主人公は転職させる能力があって、自分を護衛してくれる美少女剣士をはじめ彼ら彼女らが猛烈に強くなりモンスターとのバトルで大活躍するわけですが、主人公にも実は奥の手があって時間限定で超強力な一撃を加えられる、でも普段は戦闘能力極小ってギャップがいい感じになっており。

 日常描写もなかなかに楽しい掛け合いをしてくれますし、ヒロインズもかなり魅力的にかつちゃんとそれぞれに個性が出ていて(癒し系ヒロインは正直地味過ぎかも)、読んでいて思わずクスリとしてしまいます。

 ジョブが色々出てくるのも、もともとゲームでのジョブチェンジシステムは大好物なので嬉しくなりますね。

 村人からジョブチェンジして大活躍、はカタルシスを感じられることが多く、特に1巻で瀕死の状態からヒーラー転職→恋人を救うシーンは実に印象的でした。

 

 と、基本的に大変気に入っている作品なのですが、商業文庫化としては今ひとつ完成度が低いかなあ、と残念ながら感じる部分も。

 まずイラスト、本編中の設定と実際の絵がフィットしてないことがしばしばです。そもそも主人公が若作りとはいえ20代なかばの設定なのに少年にしか見えないのはどうかと。

 口絵イラストでは神官になったはずなのに普段着で重要なセリフ言ってることになっておりますし……ヒロイン達は本当に可愛く描けているだけに惜しい。

「レベル99冒険者によるはじめての領地経営」でも感じたことですが、モンスター文庫の編集側とイラストレーター側との意思疎通がしっかりなされていないのではないかと懸念してしまいますね。

 背表紙のあらすじも間違ってはいないけどもっと正確さを求めたいですし、キャラ紹介文は2巻で変更されず1巻のままのキャラもチラホラだし、正直編集側に雑さが目立ちます……せっかくの良作をもっと大切にして欲しいと願ってしまいますね。

 

 なろうサイトでは旺盛に更新がなされておりますので続刊も期待したいものです、ヘンな所での打ち切りにならないと良いのですが。

対魔導学園35試験小隊 全13巻+外伝1巻

 

 

 

 アニメ化もされた、劣等生の寄せ集めだったはずの部隊が遂には世界をも救う戦いの中心に巻き込まれていくバトル物。

 本編は無事完結し、残るは外伝1冊を残すのみとなっております。

 

 劣等生といっても単にスペシャリストの集まりでアンバランスなだけ、ってのがパターンでこの作品もそういう仲間が揃っているわけですが、仲間内のやり取り・掛け合いがなかなかに楽しく、最後の巻まで読ませてくれました。特にヒロイン格の二人が最初から最後まで口喧嘩の応酬で、周りも呆れつつ最終的には理解していく(でも喧嘩は続く)様はそのシーンが来る度クスリとさせてくれましたね。

 

 主人公の妹が中盤以降重要な存在になっていき、そして実はぶっ壊れヒロインだったというのも、まあたまに見かける展開ですが存在感はありましたか。

  戦闘描写もしっかりしたものがあり、後半はバトルに偏り過ぎな感もありますが最後まで読ませてくれました。

 

 個人的にはヒットするヒロインはおらず、主人公にも特に魅力は感じなかったのが残念でしたが、13巻分購入し続けるだけの読み応えはありました。残りの巻もここまで来たら付き合うつもりです。

TVアニメ「対魔導学園35試験小隊」オリジナル・サウンドトラック

TVアニメ「対魔導学園35試験小隊」オリジナル・サウンドトラック

 

 

空戦魔導士候補生の教官 10巻

 

空戦魔導士候補生の教官 (10) (ファンタジア文庫)
 

 アニメ化もされた、教官役の少年と少女のみで構成された小隊員達で織り成す空戦部隊の物語、シリーズ第10巻。

 

前巻までの拙レビューはこちら↓

dragonmuga0093.hatenablog.com

 クライマックスに向けて交渉と訓練、そして決戦前のバトルということで仕方のないことですがやや盛り上がりには欠けましたか。

 ただずっと敵対していた存在の心境が変化しつつあったり、恋愛方面でも何か起こりそうと、最後の種まき巻となっていて、ここからはクライマックスに向けて疾走してくれるのでしょう。

 でもこの恋愛方面への反応が極めて薄い主人公だと、最後までそちらでは盛り上がらないままなのかも……

 

 しかしピンナップの肌色率はかなり高いですな……あまり本編とリンクしてない印象ですが、まあこれはこれでいいですか。

冴えない彼女の育てかた 10巻

 

 丸戸史明さんによる、同人ゲーム制作を舞台にした恋愛コメディシリーズ、本編19作目。

 夏休み突入前、夏コミケ直前の修羅場ではあるものの、それでも海に行こうという話になってからのお話だったわけですが。 

 

前巻までの拙レビューはこちら↓ 

dragonmuga0093.hatenablog.com

 

 今巻はまず、カバーイラストが本当に素晴らしい! 深崎暮人さん描くメインヒロイン(?)の麦わら帽子姿、もしこの作品が全く無名の完全新作だったとしても思わず書店で手にとってしまうであろうインパクトがありました。

 ただ惜しむらくは、この巻でメインでスポットあたるヒロインではなかったことですね……まあ丸戸史明さんが本当にギリギリで脱稿したようで深崎暮人さんに平身低頭だった的な後書きを読むとやむなし、ですかね。

 ……と思い込んでましたが、これってもしかしなくても先輩ですか、ありゃあ勘違い? 恵だと思い込んでしまいましたわ。

 

 久しぶりにメインで出てきた先輩毒舌ヒロインは、やあなるほど、オチまで含めて実に彼女らしい、何だか嬉しくなってしまいました。主人公の行動も9巻の二番煎じ的な部分もありますけど、それを助言した人間のためなわけですからまあありですね。

 あとはラストでの主人公と相手側黒幕とのやり取りがなかなか印象深かったです、だからラストに持ってきたのでしょうけど。

 

 アニメ2期の準備もあるようなので今年はこれで読み納めになるのかも知れませんが、また次の巻を楽しみに待ちたいですね。

 

第七異世界のラダッシュ村

 

第七異世界のラダッシュ村 (星海社FICTIONS)

第七異世界のラダッシュ村 (星海社FICTIONS)

 

「異世界居酒屋のぶ」の蝉川夏哉さんによる、異世界に漂着してしまった5人による村作りを描いた異世界開拓記。

 今作は導入ということで、接近遭遇からの居場所づくり、各キャラ紹介がメインとなっておりました。

 

 うん、キャラの個性が出てくるようになってきた中盤以降はなかなか楽しめるようになってきました。医師として神経質なまでに異世界交流に慎重になりつつ、趣味の釣りに関しては全くもって遠慮しないというキャラがいい味出してましたね。「のぶ」の蝉川さんらしく料理薀蓄・描写はさすがでトマト食べたくなっちゃうぐらいでしたし、苦労しながらも農業や水路づくりに励む様も割と面白く読むことは出来ました。

 

 ただ今巻通じてほとんどカタルシスのないというか平坦な展開に感じたのはやや残念でした。主人公も普通の青年なので仕方ないですが、個人としての魅力は感じなかったですね。あるキャラの危機を救うなど活躍していないわけではないですが、今後の更なる成長に期待ってところでしたか。

 あと表紙イラスト、絵柄はいいと思いますが「物語中盤まで男の子と認識されていた」キャラには見えないのはどうなのかなあ。イラストではヒロインヒロインしていて本文とのギャップが。

 

「のぶ」のような短編構成でない分、今巻全体の構成としてはもう少しメリハリは欲しかったと思いますが、大きな流れの中での序章となればこれもアリなのかも知れません。ラストであの展開となったからには続巻もあるものと思いますので引き続き読んでいきたいですね。

イコノクラスト! 全10巻

 

 榊一郎さんによる、ダークファンタジー+ロボットモノ。

 異世界召喚された主人公(と従姉妹)が破滅の危機を迎える世界を救うべく召喚され、戦いの渦に巻き込まれていく様を描いております。

 

 スクラップドプリンセスシリーズを愛読していた流れでこのシリーズも読むことにしたもので、そのあまりの雰囲気の違い、ダークさに若干戸惑いを感じましたし、正直なかなかカタルシスの感じない展開続きで面白さを掴めなかったのですが、榊さんの筆力で読ませてはくれましたし、まあオチも悪くはなかったので10巻追い続けてガッカリ、ってことにならなくて安堵しました。ただヒロイン格の少女が複数いるのですがどのキャラにも魅力を感じなかったのは残念でした、あの世界観なのでなかなか楽しいやり取りってのが難しいのも理解は出来るのですけどね。

 

 ダークファンタジーはあまり読まないジャンルだったのでそこは新鮮でしたし、まあ読み人は選ぶ作品であることは確かですが、エグさ、グロさを乗り越えられればなかなか読めるシリーズではないかと思います。

異世界居酒屋のぶ 1-4巻

 

異世界居酒屋「のぶ」 1-4巻セット

異世界居酒屋「のぶ」 1-4巻セット

 

「小説家」サイトにて人気を博している、居酒屋が異世界に繋がってしまいそこで営業する主人公達と中世ヨーロッパ人のような来店客とのやり取り・交流を描いた作品を商業単行本化したシリーズです。

 2016年7月現在で4巻まで発刊されています。

 

異世界食堂」が実に面白かったのでなろうサイトのこのテのジャンルの他の作品も読んでみたいと思っていたところにこのシリーズを紹介され、読んでみるとこれまた面白い! なろうの異世界料理モノにハズレはないのではないかと思わされるぐらい楽しませてくれました。

 料理描写がやはりキモなわけですがこれがイイです……和食中心ですが段々と洋食や中華も出てきて、それがこの異世界の住人たちが実に美味そうに食べて、読んでるこちらまで食欲がそそられる、まさに「飯テロ」な仕上がりになっており。天ぷらやうなぎ、唐揚げ等々、もう、食べたくなってしまいますね。

 ただ惜しむらくは、筆者がアルコールがダメな人間なので酒との相性とかを描写されても雰囲気でしか楽しめないところです……残念。

 そして登場キャラたちが織り成す人情話も多々描かれていくわけですが、これがまたいい味出してます。特に4巻最後の「遠い海から来た男」のエピソードが実に沁み入るものが……「これだよ、これなんだよな……」のセリフが本当に胸にきましたね。本当に良かった。

 イラストのくるりさんの絵柄もパッと目を引く可愛らしさで印象に残りますね。特にヒロインの笑顔がステキです。

 

 コミカライズも2作展開されてそちらも人気を博しているようですし、なろう出身タイトルとして商業化に成功しつつあるようです。

 今後も作者の蝉川夏哉さんの紡ぐ物語、そして料理描写が読めると嬉しいですね、オススメのシリーズです。

ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン 5巻

 

ソードアート・オンライン」シリーズの舞台の一つとなったガンゲイルオンライン、そこでのバトルを描いたスピンオフシリーズ、第5巻。

 4巻でのバトル大会中盤での大きなルール変更によりパーティからそれぞれ離脱したチームと残りのチームとによる戦いの決着までを描いています。

 

1-4巻までの拙レビュー↓

dragonmuga0093.hatenablog.com

 今巻はほぼ戦闘のみで展開、シリーズ1のぶっ壊れキャラも存分に暴れておりました。最初の2章丸々主人公チームが出てこないのはおやっと思いましたが、出てきてからは楽しめましたね。

 まあ主人公の元々の参加理由が特別ルールでゴニョゴニョしちゃったのはちょっと残念でしたが、ガンバトル描写は詳しくない身ですがそれでも雰囲気感じさせてくれるレベルでしたし、相変わらず地の文でですます調なのには違和感あるものの、まずまず楽しませてくれました。

 

 あとはまあ、川原さんが許可してくれるならシノンは無理でも本編でのファントムバレット編での出場者の大会への特別参加とか、読んでみたいかな。

その白さえ嘘だとしても

 

その白さえ嘘だとしても (新潮文庫nex)

その白さえ嘘だとしても (新潮文庫nex)

 

 前作「いなくなれ、群青」に続く、階段島シリーズの第2作。

 今巻では主人公とヒロインのみならず、周りのキャラ達にもスポットが当たりそれぞれの理由でそれぞれが捜し物を見つけるべく走り回る様を描いています。

 

 ううむ、今回は上記の構成が、最終的には収束することは判っていたものの、途中が色々と行ったり来たりで今ひとつ落ち着かない感じがしてもう一つに感じてましたけども。

 まあやはりクリスマスの奇跡、っぽくまとめられると何かしっとりとした心境でこれでいいなあ、と思えてしまいましたね。

 今回よくスポットの当たった学級委員長の、主人公とヒロインへの複雑な感情が入り混じっている様はよく描かれていて、前作ではヒロインの一途過ぎるおかしさが散々指摘されてたけど主人公も大概だよなあ、と伝わってもきました。

 

 あとはまあ、今回もイラストがとっても素敵でした、これまた表紙だけで書店で手に取ってしまうインパクトはあると感じましたね。

 魔女の正体にも迫ることになり、今後どうなるのか続きが気になるところでありました。

織田信奈の野望 4巻

 

織田信奈の野望 4 (GA文庫)

織田信奈の野望 4 (GA文庫)

 

 アニメ化もされた人気ライトノベルシリーズ、第4作。

 前の巻のラストで絶体絶命の危機に陥った主人公が如何にして戦い、この窮地を脱するのか、とても気になっていたわけですが。

 周りの姫武将たちの動揺っぷりもしっかり描かれ、特に妹的存在の娘の健気な様子がなかなかに印象的でした。

 まあここで主人公が死んでしまっては物語は終わってしまうわけで、主人公補正で助かることは明らかでしたがなるほど、救出シーンで重要キャラとのフラグを立てる展開となりましたか。

 前巻ラストの盛り上がりっぷりからするとやや拍子抜けではありましたが、元々武将としては強いわけでもなんでもないので、こういうオチもやむなしですかね。

 

 いよいよ戦国最強軍団を率いる姫武将も顔を見せ(最強武将はまだですが)、さてどのようになっていくのか、続きも楽しみではあります。

 

神曲奏界ポリフォニカ ストラグル・クリムゾン

 

神曲奏界ポリフォニカ ストラグル・クリムゾン (GA文庫)
 

 榊一郎さんが担当するポリフォニカシリーズ、通称「赤ポリ」の第4巻。
 前巻「スパーティングクリムゾン」のラストを受け、苦境に陥った主人公コンビの復活ぶりを描いております。

 もちろんあのまま黙って終わってしまうヒロインではなく、見事な活躍を見せてくれることを期待していたわけですが。
 いやはや、さすがは榊さん、見せてくれました。
 まあ今後にも出張ってきそうな敵も出てきてますます盛り上がっていきそうです。
 あとはまあ……「黒ポリ」も読んでいて良かったなあ、ってところですか。

 今後の展開に期待させてくれる内容であったことは確かですね。

 

機動戦士ガンダムUC 1 ユニコーンの日(上)

 

機動戦士ガンダムUC 1 ユニコーンの日(上) (角川コミックス・エース 189-1)

機動戦士ガンダムUC 1 ユニコーンの日(上) (角川コミックス・エース 189-1)

 

逆襲のシャア」から3年後を著名作家である福井晴敏さんが描く新たなガンダムシリーズの第1巻。
 既に完結しアニメ化もされていますね。

 プロローグがえらい長くて、こりゃ完全新作でこんなことしたら袋だたきだろうなあと。固定ファンがガッツリそんあ宇宙世紀ガンダムが題材だから出来るのでしょう。

 で上巻ってことである程度予想していましたが、肝心のユニコーンガンダムが起動するシーンすらなかったのには拍子抜けでした。
 まあ確かに、一介の学生である主人公があっさり乗り込むのはおかしいじゃんと言われればそのとおりですが、200P以上書いてヒロインの逃走の助け→目的地到着で離別、までしかやらないなんてねえ。

 まあこりゃすぐ下巻を読まなきゃなあ、とは思わされました、そういう意味では買わせる力はあったんですかね、文章力はさすがにベストセラー作家だけのことはありました。

 

スクラップド・プリンセス 全13巻+短編集 全5巻

 

 榊一郎さんの代表作であるファンタジーノベル。

 タイトルの通り主人公の少女が実は王女であり、理由あって追われる立場となり義理の兄・姉と共に逃亡の旅を続けつつ反撃していく展開となっております。

 

 いや、シリーズ前半の兄と妹の愉快過ぎるやり取りは本当に楽しかったです。なんやかんや難癖つける妹に対し面倒くさそうに、でも律儀に対応する兄の構図がもう、とっても素敵。前半は本当に次巻の発売が楽しみで仕方なかったですね。

 途中から出てくる竜機神の少女もなかなか良いキャラでした。秘密を抱えながらもポイントポイントでしっかりと存在感を示し、秘められた過去が判明したときもその超展開っぷりに驚きはしたもののそのような存在故の悲しみは伝わってきました。

 

 シリーズ中盤以降の重くなっていく雰囲気は、初期設定からして仕方ないとはいえ前半とのギャップが大きく、前半のノリが好きだった身としてはもう一つ物語に入り込めない感じでした。オチに不満があるわけではないですが、ここまでガラッと変わらないように収まらなかったのかなあ、とちょっと残念に思ったのが正直なところです。

 

 ただまあ、最後まで読んで、多くの巻で楽しませてくれたことは確かですし、榊さんの作品をこれ以降も読んでいこうと思わせてくれたシリーズだったことは間違いありません。

「なかなかの良作」というのが最終的な評価になりますかね。