ノベルレビューオンリー

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織田信奈の野望 3巻

 

織田信奈の野望 3 (GA文庫)

織田信奈の野望 3 (GA文庫)

 

 アニメ化もされた人気ライトノベルシリーズ第3作。
 今回は何と言ってもラストですね……絶体絶命の大ピンチ。主人公としてふさわしい行動を示したものの、さてどうなるか、次巻が気になって仕方ない引きでありました。
 新キャラも数人出てきて、特にフロイスはなかなかなインパクトを持ってましたが、ラストに全部持っていかれたなあ、というのが正直な印象ですね。

 

いなくなれ、群青

 

いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)

いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)

 

「君と僕」の物語、系の作品と言えるでしょうか。

 何とも不思議な関係、特にヒロインの少女のまっすぐ過ぎる性質が実に特徴的で、主人公の少年のやや斜に構えた部分はありがちかな、とも感じましたがそれでも二人の独特な距離感が印象的です。

 

「階段島」という、なぜか現実から切り離された、そこから出られないのに通信販売やゆうちょは利用出来るという場所で起こる不可思議な事象、魔女の存在、そしてあるはずのない再会を果たしてしまった二人。

 この物語に魅了された、というほどではないのですが、主役二人の行動や言動が目を離せない感じがして、一気に最後まで読ませてくれました。ヒロインのキャラの立て方の勝利でしょうか、本当にもう危なっかしくて、主人公の心境がよく伝わってくる感じ、なかなかでした。

 表紙イラストの透明感も素晴らしかったですね、書店で思わず手にとってしまうインパクトがありますし、あのヒロインのキャラクターを象徴してもいますね。

 このテの青春モノはあまり読まないのですが、久々に読んだのがこの作品で良かったなあ、と思えた一作でした。

ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン 1-4巻

 

ソードアート・オンライン」シリーズの舞台の一つとなったガンゲイルオンライン、そこでのバトルを描いたスピンオフシリーズ。

キノの旅」などで人気を博している時雨沢恵一さんが、自らのガンマニアっぷりをいかんなく発揮すべく、原作者の川原礫さんを始めとする各方面に熱意を持って働きかけ出版にこぎつけたとのことだそうで。

 本編のキャラは名前や一言二言のみの登場で、作中のメインキャラはこの作品オリジナルとなっていますね。

 

 1巻は正直、バトル描写ばかりでキャラの掘り下げがやや少なくドラマ性も薄く感じ、主人公無双っぷり以外は本家GGOに及ばずかなあ、と感じていたのですが。2巻からぶっ壊れキャラが本領発揮するようになってからはなかなか楽しくなってきました、親友キャラもイイ性格してますしねえ。

 戦闘描写はなるほど、さすがにガンマニアを認めるだけあって細かく、でもギリギリうるさくならない感じでさすがの内容でした。外野の批評っぷりもアレはアレで味がありますね。

 ただ地の文がですます調なのは、この作品に関しては違和感ありましたね……バトルバトル、またバトルなお話なのですから、普通にである調のがフィットすると思えました。

 4巻がいいところで次に続くとなっていましたので、続きが読みたいな、と思えるぐらいには楽しめてます。銃に関しては全く詳しくないのですが、SAO本編を読んだ上で更にこの作品に出会って、GGOもゲームで体験したいものだな、と思わせてくれてますし、これからも引き続き追い掛けていこうと思います。

織田信奈の野望 2巻

 

織田信奈の野望 2 (GA文庫)

織田信奈の野望 2 (GA文庫)

 

 アニメ化もされた人気ライトノベルの第2巻。
 軍師、竹中半兵衛やあの明智光秀も勿論美少女として登場し、いよいよ賑やかになってきました。
 いつもの主従コンビのいがみ合いもなかなかでしたが、今巻では他の武将たちや仲間との交流もぐっと描かれ、特に半兵衛のシーンは良いものでした、80点。
 何気なしに読んでみた作品ですが予想外に面白くて続きが更に楽しみなシリーズとなってくれました。 

 

織田信奈の野望

 

織田信奈の野望 (GA文庫)

織田信奈の野望 (GA文庫)

 

 アニメ化もされた人気ライトノベルの第一巻。

 タイトルは人気ゲームシリーズ「信長の野望」のもじり、ってかほぼそのままですね。

 なぜか戦国時代にトリップしてしまった男子高校生が、未来の知識を生かし奮闘していく物語、でも主だった武将たちは皆、同年代の女の子たちであった。
 とまあ、ライトノベルに限らずよくある武将の性別変化物としてどうなんだろうかと思いつつ読み始めてみたのですが、いやいや、予想外に本格的と言うか、もっと奇想天外な内容なのかなと思ってたら細かくその時代に沿った描写が多く、割りと本格的なことにちょっと驚かされました。
 キャラのやり取りは流石にライトノベルなノリですが、キャラ立ちは悪くないですし、今巻は日本史上の分岐点ともいえる桶狭間の戦いまででしたが、続きが楽しみになりましたね。

 

甘城ブリリアントパーク 1-8巻

 

 

フルメタル・パニック!」シリーズの賀東招二さんによる、廃園危機にある遊園地立て直しに奔走する面々を描いた一作。既にアニメ化もなされております。

 

 う~ん、1巻は面白かったです、テンポよく話は進みますし廃園危機を主人公の反則な力業で乗り切る所も(手法はアレでしたが)「おおっ」と思わせてくれましたし、何よりお姫様が可愛かったですし。さすがは賀東さんと思わせてくれたのですが。

 2巻以降の危機をひとまず乗り切ってからの展開は、確かにサブキャラたちを描く必要があるのも分かりますし、また主人公を軸にした三角関係描写もあるべきものですが、正直盛り上がりにはやや欠けると感じますね……まあ寄り道しないと即完結、になりかねないのも判りますが、ちょっと本筋から離れ過ぎかなあと思ってしまいます。

 最新8巻で物語の転換期を迎え、本筋も進んでいきそうなので今後には期待出来そう……かな? まあドタバタはドタバタで楽しめないこともないですが、正直賀東作品ではコメディーよりシリアスのが前作もそうでしたが好ましいですね。 

 

レベル99冒険者によるはじめての領地経営 1-3巻

 

「小説家になろう」サイト上に掲載されていた人気シリーズの商業文庫化タイトル。

 タイトル通り、チートな強さを持って世界を救った勇者一行が領地を持つことになり、今度はチート能力をふんだんに使って領地経営をしていく様を描いているわけですが。

 

 主人公が現代日本から召喚された男子高校生で、異世界には全く存在しない技術と、それを生み出せる魔術能力を持って領地を発展させていく様はなかなか楽しめましたし、ハーレムものでもありますがヒロインたちもなかなかに魅力的で会話シーンもいい感じに仕上がっていましたね。

 

 ただ正直、タイトルのような「領地経営」部分があっさりクリアなのばかりだったのが今ひとつでしたかね。バトルパート、日常パートの方が目立ってしまっていたのが、育成・発展物が好きな身としては残念に感じました。

 あと一番の不満はイラストですね……作中何度も「絶世の美女」「天上の美」と表現されているメインヒロインがとてもそう感じられないキャラデザインなのは興ざめでした。下手したら3巻から登場する幼なじみヒロインのがビジュアル的に上なのではないかと。世に出てしまった以上はもう取り返しつきませんが……どうなんでしょうねえ。

 

 2016年6月現在で5巻まで発売になっており、「小説家になろう」では既に完結しておりますが。さて、ラストまで発売になるのでしょうか……

フィッシュストーリー

 

フィッシュストーリー (新潮文庫)

フィッシュストーリー (新潮文庫)

 

 伊坂幸太郎さんによる、全4編の短編(中編?)集。

 伊坂作品はこれが初めてなのですが、他の作品にも登場するキャラクターが多いとのことで、彼ら彼女らの物語が紡がれていきます。

 

 伊坂幸太郎、という作家名は有名作家として認識していたのでどのような作品を描く人なのか興味深かったのですが……今作の4つには今ひとつピンと来るものはなかったのが正直なところでした。2編目の閉鎖的な村を舞台にしたサクリファイスはなかなか面白く読めましたが、後はあまり響いてこない感じでしたかね。

 文体自体は地の文でダラダラ説明が続くようなこともないので読みやすいものがありましたし、後味悪い展開もないので読んで後悔することは全くなかったのですが、他の伊坂作品に手を出してみようと思わせてくれるまでには至らず、というのが最終的な個人的評価であります。 

フィッシュストーリー [DVD]

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ソード・オラトリア ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 1-6巻

 

 

 アニメ化もされた「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」のスピンオフタイトル。本編でも重要なポジションを占める女剣士を主人公に、彼女の抱える事情とその所属するファミリアの面々と共にダンジョン攻略を目指す様を描いております。

 

 うん、本編同様、バトル描写の盛り上がりっぷりは本当に巧みなものがあります、まあ同じ作者さんなので当店ってば当然ですが。旺盛な執筆スピードも評価したいところです、2つのシリーズを結構な短期間に発売してますからね。

 ただ本編の主人公の少年に比べるとこちらの女剣士は感情表現が少なく、その分をファミリアメンバーが補っているとはいえメインキャラとしてはやや物足りないものも感じますね。とはいえ、本編ではページ割きすぎることになるので難しいであろうキャラの掘り下げがこちらで出来ているのは、シリーズ読んでる身としては楽しめてますけどもね。

 

 本編に引き続きこちらの作品もアニメ化されるとのこと、今後も本編同様追い掛けていくつもりです。

神曲奏界ポリフォニカ インスペクター・ブラック

 

神曲奏界ポリフォニカ」の大迫純一さんが担当するシリーズ、通称「黒ポリ」の第1巻。作者の方は若くしてお亡くなりになったとのことで、訃報を聞いたときは驚いたものでした。

 

 主人公コンビは精霊警察の属しており、とある殺人事件の捜査のため現場に向かうのだが……と言った感じで始まる物語で。

 犯人が明示されてて主役たちがそれに迫る、といった形式になっており、「刑事コロンボ」などと同じと言えるでしょうか。
 ただこの形式を読みなれていないからか、どうもしっくり来る感じがなく、テキストは悪くないのですが読んでてあまり盛り上がりを感じなかったです。
 
 まあシリーズものでこれ以降手馴れて盛り上がっていくのでしょうけども、ちょっとこの巻だけだとあまり評価出来ないかな、といった所でした。

聖剣使いの禁呪詠唱 16巻

 

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 16 (GA文庫)

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 16 (GA文庫)

 

 ……もう16巻か、早いものだなあ。

 さておき、シリーズ16作目となる今回はロシアを舞台にして夏合宿を行うことになった主人公一行が、そこで強敵による策謀に巻き込まれていく様が描かれていきます。

 

前作までの拙レビュー↓ 

dragonmuga0093.hatenablog.com

 コメディーとシリアスそれぞれでなかなかに読ませてくれますし、チートハーレム物ならこのレベルまで描いてくれないとね、と思わせるバトル描写はさすがのものがあり、特にヒロインの一人が新たな剣技を習得する部分が良かったのですが。

 物語としては正直またこのテの繋ぎエピソードでマンネリ感が否めません。一応ラストで次巻以降大きく動きそうな感じでは描いてますが、と思ったら今度は短編集とのことですし、あまりもったいぶられてしまうと興ざめしてしまうので本筋を動かして欲しいなというのが正直なところです。

  あとはまあ、ラスボス候補は二人いますがどちらになるのかなあ、というのも興味深いので、そろそろに物語の核心に迫る展開が望まれます。

 

はたらく魔王さま! 0-16巻

 

はたらく魔王さま! (16) (電撃文庫)

はたらく魔王さま! (16) (電撃文庫)

 

 

 アニメ化もされた、和ヶ原聡司さんの、異世界から現代日本に転移してきた魔王がなぜか魔力を失って人間の若者となってしまい、一文無しの状態からアルバイトをして生計を立てつつ、追ってきた女性勇者やその仲間と対立、そして交流する様を描く作品となっております。

 アルバイトする大魔王、というイメージ的には出オチに近いものがあるわけですが、そこからのドタバタぶりはなかなか楽しめましたし、何より魔王と勇者の娘、という形で登場してきた赤子のような存在がとても可愛らしく、またイラストも実に良くてとてもお気に入りのキャラだったりしますが。

 物語中盤まで暗躍していたキャラが姿を現してからのヘイトっぷりがしつこいというか、読んでいてそこまでページ割かれても、と感じてしまい、物語の進行もどうもダラダラしているような印象でここ数巻は正直面白いと感じなくなってしまいました。アニメ化までされたので今でも人気作品ではあるのでしょうが、このままだと読者も離れていくのではないかと思ってしまいますが……

 

 ここまで付き合ってきたので多分最後まで読むとは思いますが、もっとメリハリのある展開を見せて欲しくありますし、それが改善されないときは読まなくなってしまうかも知れません。

風よ。竜に届いているか―小説ウィザードリィ 2

 

風よ。龍に届いているか―小説ウィザードリィ〈2〉

風よ。龍に届いているか―小説ウィザードリィ〈2〉

 

 コンピュータRPG「ウィザードリィ」の世界を舞台に、オリジナル要素も組み込みながら繰り広げられたファンタジー。
 連載されていたゲーム雑誌の愛読者でしたが、この物語ももちろん、目当ての一つでありました。

 いやあ、シビアで奥深いウィズワールドをこれ以上ないぐらい、描ききっていたこの作品、実に読み応えがありましたね。
 各キャラクター達の個性も十分に発揮されていましたし、戦闘シーンも迫力があり、ラストも実に見事にまとめてと、ゲーム小説としては最高レベルにあるのではないでしょうか。
 個人的には十二分に満足のいくものでしたね。

 一時期は入手困難であったようですが、復刊されたようですね。
 普通におすすめ出来る作品ですが、特に原作ゲームを愛好しているなら一読の価値は間違いなくあるものと思います。

ミドリノツキ 上中下巻

 

 

ミドリノツキ (中) (ソノラマ文庫 (941))

ミドリノツキ (中) (ソノラマ文庫 (941))

 

 

ミドリノツキ (中) (ソノラマ文庫 (941))

ミドリノツキ (中) (ソノラマ文庫 (941))

 

 

ミドリノツキ〈下〉 (ソノラマ文庫)

ミドリノツキ〈下〉 (ソノラマ文庫)

 

「星虫」で大ファンとなった岩本隆雄さんの、星虫シリーズ以外で初の作品となった「ミドリノツキ」、今作もまた気持ちの良い物語を見せてくれました。

 現代社会に突如現れた万能の塔、そこから起こる大騒動に、ちょっと変わった高校生、尚顕は舞台の中心へと巻き込まれていく…といった物語はややもすると「おいおい…」と突込みどころ満載になってしまいますが、岩本さんの確かな筆力と構成力でスイスイと読ませてくれます。後から考えると若干ヘンに思う点もありましたが、読んでるときにはまるで気になりませんでしたね。

 キャラも尚顕を中心に個性がありながら魅力溢れる面々を描ききっており、特にピュンの特異なキャラクター性は目を見張るものがあり、しかも尚顕との絡みでおいしい場面を持っていく、ということで読者に大きく支持されたのではないでしょうか。
 主人公と冒険を共にする少女とのストーリーも、ボーイミーツガールの王道ですがとてもさわやかで、ラストの気持ち良さはかなりのものでした。
 岩本作品のカップルではこの二人が一番好きですね。

 現代のファンタジーを描かせたらこの方が当代で一番、と思っていますが、昨今はまたもや冬眠に入ったかの如く動向が聞こえてきません。また素敵な物語を紡いで欲しいものですが…… 

神曲奏界ポリフォニカ スパーティング・クリムゾン

 

 榊一郎さんが担当するポリフォニカシリーズ、通称「赤ポリ」の第3巻。
 今巻では主人公コンビが所属する事務所の制服決定のドタバタ、そして……と言った展開で。

 前半ドタバタ、後半は一転シリアスとなるのですが……この終わり方では今巻だけでどうこう言えない感じです、前後編な構成なので。

 しかしこの作品に限らず、ブギーポップシリーズ以降のライトノベルで数字の巻数表示がないものもしばしば見受けますが。どの巻のことだったか判別が難しいし面倒ですね、読み手側としては(今更ですが)正直止めて欲しいものです。